死亡推定時刻

死亡推定時刻 (光文社文庫)

死亡推定時刻 (光文社文庫)

【全485ページ】【期間:8日】
山梨県の有力者の1人娘が誘拐され、身代金受け渡しに失敗した後日遺体となって発見される。そして逮捕されたのは無実の青年・・・という冤罪ドラマ。
最初(犯人とのやりとり)っから引き込まれる。けど無実の青年が逮捕されてから読むのがしんどくなってくる。警察の取調べが酷くて、読むのが辛くてなかなか先に進めなかった。しかーし。半分を過ぎた辺りで神様(国選弁護士)が登場。ここから一気に面白くなるのです。
この本のタイトルが何故「死亡推定時刻」なのか。それは、娘が殺害されたのが身代金受け渡し失敗の前なのか後なのかが重要だから。警察としては身代金受け渡しに失敗した後だとマズイわけ。そこで無実の青年を逮捕してしまうんだけど、青年は無実なわけだから何も知らない。とにかく青年を犯人に仕立て上げたい警察が暴力を振るったりして身代金受け渡し前に殺害したっていう供述(のようなもの)をさせてしまう。
冤罪なわけだから後に辻褄が合わないことがわんさか出てくるわけ。
ということで、犯人は誰かというよりもどんな風にして彼を救うかってのが目玉なんだけど、これは凄い。
この方、現役の法律家だそうで、警察やら裁判のことにとっても詳しいから読んでいてとても生々しい。
私の身に何かあったらこの川井弁護士に頼みたいくらいだわ。
あとがきの、筋書きはフィクションだけど起こっていることはノンフィクション、みたいな文が印象的。冤罪は表に出ていないだけ、ということ。
あぁ。それにしてもあの取調べは酷い。平井警部が憎い。怖い。
最近読む本や映画では考えさせられることがたくさんあるなぁ。